こんにちは、外来Dr.のNです。
最近、患者様からのインプラント治療についての質問をよく頂きます。
インプラント治療は、チタン製のネジを顎骨に埋め込むことで失った歯を人工歯根で補う歯科治療法です。
この人工歯根は顎骨と結合し、自然な歯と同様の強度と安定性を提供します。
治療のステップは
①インプラントを埋め込むための十分な骨量があるかどうかを確認するための診査と治療計画の立案
当院ではインプラント治療を行う前に必ずCT撮影を行い、インプラント治療が可能な骨量であるかをしっかりと確認いたします。
その後外部機関へ3D分析を依頼し、立体画像からその患者様だけのシミュレーションデータでサージカルガイドを作成します。
サージカルガイドとは人の手によるわずかなブレを防ぐため、一定の位置・深さ・角度に限定した埋入を補助するための道具です。
必要に応じて骨の増量手術(骨移植)を行う場合もあります。
②外科手術でインプラントを顎骨に埋め込む
手術は局所麻酔下で行われ、術後の回復には数か月を要します。
この期間に、インプラントが骨と結合するプロセス(オッセオインテグレーション)が進行します。
③インプラントが顎骨としっかり結合した後、アバットメントという連結部品を取り付け、最後に人工の歯(被せ物)を装着します。
この人工歯(被せ物)は、周囲の歯と調和するようにデザインされ、見た目と機能の両面で自然な歯に近い状態が再現されます。
インプラントは、ブリッジや入れ歯と比べて自然な見た目と機能を持つこと、隣接する健康な歯を削る必要がないこと、そして顎骨の維持に寄与することがあげられます。
ただし、セルフケアはもちろん定期的なメインテナンスを行うことがとても大切です。
長期間にわたって高い成功率が報告されており、適切なケアを行えば数十年にわたって機能することもあります。
その一方で、治療には時間がかかること(おおよそ完成までに1年)、費用面が高くなること、全身の健康状態や口腔内・顎骨の状態により全ての患者様がインプラント治療に適しているわけではないことがデメリットとして挙げられます。
日本ではまだまだ定期検診を受けられる患者様が少なく、
諸外国と比べても80歳時点で残っている歯の平均本数は低くなっています。
生まれたときから本能として備わっている「食べる」という機能は
そのまま命に直結する行為で
つまり「食べる」ために使う「口」や「歯」も命につながっている大事な財産です。
治療を希望する場合は、歯科医師とよく相談し、
希望することと実現できることのすり合わせと
その治療を選ぶことのメリットデメリットをよく理解し、
治療を進めていくことをお勧めいたします。
是非お気軽に歯科医師までご相談くださいませ。