安いセラミック治療は本当に大丈夫?
~後悔しないために知っておきたい価格と品質の関係~
「他院よりもかなり安いけど、本当に大丈夫?」
「なぜここまで価格差があるの?」
セラミック治療の費用は、医院によって大きく違うことがあります。
今回は、安いセラミック治療の仕組みと潜むリスクについて、歯科医師の立場から解説します。
●なぜ安くできる?価格が下がる理由を解説
セラミック治療の価格が安くなる背景には、以下のような理由があります。
使用する材料のランクが異なる
同じ「セラミック」と言っても、
- ⚫︎ ジルコニア(フルジルコニア/ステイン仕上げ)
- ⚫︎ ハイブリッドセラミック
- ⚫︎ e.max(プレスセラミック)
など、
材料の品質や審美性には差があります。
コスト重視の材料を使えば、その分価格を抑えられます。
材料の名称や説明を確認するようにしましょう。
技工士や製作工程の簡略化
熟練の技工士によるオーダーメイド製作と、外部委託・大量生産では仕上がりやフィット感に差が出ます。
一部の医院では海外製ラボや自動CAD設計でコストを下げています。
人件費・診療時間の圧縮
短時間・低価格で治療を回すために、カウンセリングや調整の時間を最小限にしていることもあります。
●安いセラミック治療に潜むリスクとは?
価格が安いからといって、必ずしも粗悪というわけではありませんが、以下のようなリスクが潜んでいる可能性があります。
色・形が合わない
特に前歯の治療では、周囲の歯と微妙な色調や形状を合わせる必要があります。
安価な治療では、微妙な色合いや立体感、透明感の調整が不十分なこともあり、歯が浮いて見えるなどの違和感が残る場合があります。
接着不良やすぐ外れる可能性
セメントの選定・接着操作には細かな工程が必要です。
これが不十分だと、数ヶ月〜数年で脱落するリスクがあります。
咬み合わせ調整の精度が低い
高精度な咬合調整をせずにセットすると、顎関節や他の歯に負担がかかることも。
結果としてセラミックが欠ける、歯がしみるなどの不調につながるケースもあります。
●逆に「高額=安心」とは限らない理由
高額な治療だからといって、必ずしも質が良いとは限りません。
- ⚫︎ 宣伝費や立地コストが価格に反映されているだけ
- ⚫︎ 材料は良くても、歯科医師や技工士の技術が伴っていない場合も
- ⚫︎ 保証やアフターケアが曖昧なケースも存在
大切なのは、価格の高さよりも「中身の透明性」や「医院の説明責任」です。
●後悔しないためのチェックリスト
セラミック治療を受ける前に、以下の点を確認しましょう
事前カウンセリングで聞くべきこと
- 素材の種類とそれぞれの特徴・耐久性
- セラミックの作製をどこで行なっているか?(院内 or 外部)
- 色や形の合わかた(光学スキャン・写真・模型・仮歯・色サンプルの使用)
保証内容の確認
- 割れ・脱落時の再製作の有無
- 保証期間とその条件(例:定期的なメンテナンスが条件 など)
治療後のフォロー体制
- セラミックの調整・メンテナンスの費用
- 不具合時の対応は?
●まとめ
セラミック治療は、見た目・機能性・長期の安定性すべてをバランスよく実現することが理想です。
「安さ」に目を奪われすぎると、素材や色や形状に違和感を感じ、結局やり直しになって高くなってしまうことも。
重要なのは、しっかりと素材や効果の説明してくれる医院を選ぶこと。
納得のいく説明と信頼できる技術で、後悔のないセラミック治療を受けましょう。
●当院Dr.より
安価な材料を使用したり、海外を含めた価格メインでの外注作製、診療機会の短縮など、コストや労力をかけなくすることで、提供価格を抑えることは出来ると思います。
ただ、安価な材料では透明感に欠けたり、色が不自然だったりすることがあります。
また、あってはならない事ですが、事前説明や装着過程、かみ合わせの調整などの診療時間を意図的に圧縮するのもコストカットの要因になりえます。
当たり前のことなのですが、素材や色味、かみ合わせなどの確認を丁寧に行い、説明と確実な診療を受けられること、メンテナンスや保証の案内をしてくれるところが安心だと思います。