子どもの顎が小さいと歯並びに影響はある?

お子様の顎の大きさを気にしたことはありますか?
近年では「顎が小さい=小顔・スマート」というイメージもあり、子どもの顎が小さくても気になさらない保護者様がいらっしゃいますが、実は子どもの顎が小さいままだと、健康上のリスクが発生します。
お子様の健全な発達のためにも、顎の小ささが歯並びや口腔環境に与える影響について確認していきましょう。

子どもの顎が小さい理由や原因

子どもの顎が小さい理由や原因

顎が小さい理由は、大きくわけて3つです。

遺伝による顎の小ささ

まず1つ目は、遺伝による顎の小ささです。
顎の形や歯の並び方をはじめとして、子どもの骨格は保護者様からの遺伝的要素を大きく反映する傾向にあります。
そのため保護者様自身も顎が小さいと指摘されたり、歯並びで悩んだりした経験がある場合は、お子様の顎の大きさを一度ご確認ください。

食の多様化に伴う軟食

2つ目の原因は、食の多様化に伴う軟食(軟らかい食べ物を好んで食べる)傾向です。
昭和以前の食事環境とは大きく異なる現代では、少ない咀嚼回数で食べられるメニューが多く、特に子どもの場合は軟らかい食べ物ばかり好き好んで食べているということも珍しくありません。
咀嚼回数の減少によって顎をつかわない食事が増えると、顎周りの筋肉が正常に発達せず、顎が小さいままになってしまう可能性が懸念されています。

口呼吸

3つ目の原因は、口呼吸です。
口呼吸を続けていると下顎に付着する筋肉が育たず、同時に顎の骨の成長も十分に行われません。その結果、下顎が小さく後退した形態になってしまいます。
口がポカンとあいている、唇が乾いている、いびきや歯ぎしり、口臭があるなど…。どれか一つでも当てはまるものがあれば口呼吸の可能性があります。

子どもの顎が小さいことによる影響

子どもの顎が小さいことによる影響

子どもの顎が小さいと、口や体にはどのような影響があるのでしょうか。
最も大きな影響は、歯並びが悪くなることです。
顎が小さいと歯が生えるためのスペースが不足してしまうため、前後に重なりあうように歯が生えてきてしまう「叢生(そうせい)」と呼ばれる歯並びになってしまいます。

叢生は見た目にも美しい状態とはいえない上に、歯ブラシが上手く届かず、食べかすが歯に挟まりやすいといった口腔環境に陥りやすく、虫歯や歯周病のリスクがグンと上がります。

また上下の歯が上手く咬み合わないことから咀嚼が上手く行えず、体全体の筋肉バランスが崩れたり、胃腸の負担が増したりと、弊害が多くあります。
さらに顎周りの筋肉が発達していない場合は喉の周りの空間が狭まることによって口呼吸になりやすく、睡眠時無呼吸症候群を発症するリスクも高いです。

子どもの顎の大きさはいつ決まる?

子どもの顎の大きさはいつ決まる?

子どもの顎は、上顎は10歳頃まで、下顎は思春期頃(男の子は18歳前後・女の子は13歳前後)まで成長を続けます。
そのため顎の骨が柔らかい幼少期に、適切な矯正を行うことができれば、歯並びが出ないように顎のスペースを適切に広げることができます。
また顎の筋肉に関しても歯科医の指導の下で筋機能を鍛えることによって、将来の健康面でのリスクを減らすことにつながります。

小さい顎の改善方法

小さい顎の改善方法

子ども顎が小さいまま成長することを防ぐためには、毎日の食事のなかでよく噛んで食べること、歯ごたえのあるものも適度に食べることを意識しましょう。
また、口呼吸を改善していくためには、口腔筋機能療法(お口周りの筋肉トレーニング)姿勢改善、装置を使用した口腔周囲の機能改善(舌の位置、口唇閉鎖、鼻呼吸)などがあります。

顎の骨が柔らかい幼少期から歯科医の適切な指導を受けることによって、強い痛みを感じることなく顎の大きさを改善することも可能です。
先天的な要因で顎が小さい場合などは特に、歯科医の判断の下で顎の大きさを改善していく必要があります。
お子様の顎の大きさが気になったら、まずは一度歯科医に相談しましょう。

子どもの小さい顎を改善する矯正治療

子どもの小さい顎を改善する矯正治療

当院では子どもの小さい顎を改善する矯正治療として、4歳から10歳頃までのお子様に対して「小児の予防矯正」をご案内しています。
当院で行っている小児の予防矯正は、顎の成長を利用して顎を広げる装置を利用した矯正と、顎周りの筋肉を育て歯並びや咬み合わせの環境を改善させる筋機能トレーニングの2つがあります。
歯の並ぶスペースをしっかりと確保できるように顎の大きさを整えながら、顎周りの筋肉の機能をサポートすることで、将来的な叢生や不正咬合を回避し、健康的な口腔環境へと導いていきます。

まとめ

子どもの顎が小さいと歯の生えるスペースが足りなくなってしまい、歯並びや咬み合わせに多大な影響を及ぼしかねません。
子どもの顎が成長するのは10歳もしくは思春期頃がひとつの目安となるため、顎の骨が柔らかく痛みの少ないタイミングで顎の大きさを改善するためには、なるべく早い段階で歯科医に相談する必要があります。

当院では小児の予防矯正として、矯正装置と筋機能訓練装置を用いて、歯並びの改善や顎の正常な発達、口腔機能の改善をサポートしてまいります。
お子様の顎の小ささでお悩みの方や、顎の大きさを一度確認したいという方は、お気軽に当院までご相談ください。

●監修者

院長 : 黒田 祐彰

歯科医師

経歴

  • 1988年 朝日大学歯学部卒業
  • 1990年 くろだ歯科医院開業
  • 2003年 法人成設立 医療法人くろだ歯科医院へ
  • 2006年 移転
  • 2013年 移転 医療法人阡周会くろだ歯科医院へ
  • 2013年 12月ホワイトエッセンス 淡路店オープン

所属

  • 日本歯科医師会
  • 大阪府歯科医師会
  • 東淀川区歯科医師会
  • 日本顎咬合学会
  • 日本糖尿病学会
医療法人阡周会