子供 ポカン口のトレーニング方法

テレビを見ているときや遊んでいるときなど、口が無意識的にポカンとあいているお子様は、「ポカン口」と呼ばれる状態にある可能性があります。
ポカン口は正式には「口唇閉鎖不全症(こうしんへいさふぜんしょう)」と呼ばれる症状で、幼少期に適切なサポートを行わない場合、将来的に歯並びや顎顔面頭蓋の発育、中高年以降の口腔機能低下などに大きな影響が生じる可能性がありますので注意が必要です。

●ポカン口とは?

ポカン口とは?

ポカン口はその名の通り、子どもの口がポカンとあいた状態(日常的に口が閉じていない状態)です。
通常であれば人間の口は、会話をするときや食事をするときなど以外は、上下の唇が接している状態、つまり口を閉じて鼻呼吸を行っている状態が正しいです。
しかしながら何らかの要因でポカン口になっている子どもは、恒常的に口があいてしまっており、口呼吸になっているケースが大半です。
乳児期は「子どもらしくてかわいい」という印象のポカン口は、成長と共にだらしない印象になるだけではなく、口呼吸に伴うアレルギー性鼻炎・アトピー性皮膚炎・気管支喘息といった病気を誘発しかねません。

また歯並びや咬み合わせが悪くなったり、虫歯や歯肉炎が増えたりといった口腔機能に申告な影響を及ぼす可能性もあります。
ポカン口を放置しておくことは健康上のリスクが非常に高いので、歯科医の正しい指導の下で改善していく必要があります。

●ポカン口の原因

ポカン口の原因

子どもがポカン口になってしまう原因としては、主に以下のような原因が指摘されています。
お子様の口の様子を確認するときの参考になさってください。

・口回りの筋力不足

口の周りの表情筋や顎の筋肉が発達していないと、口を閉じるだけの十分な筋力が不足してしまい、ポカン口につながります。
またポカン口の状態が続くと、口周りの筋肉が鍛えられないという現象が起こり、悪循環が続いてしまいます。

・歯並びのズレ

歯並びや咬み合わせが正常な状態にないと、歯が邪魔をして口を閉じることができません。
物理的に口を閉じることができないので、ポカン口につながります。

・口呼吸の習慣がついている

慢性的な鼻炎や、鼻と口周りの筋力不足などが原因で鼻呼吸を習得できていない子どもは、口呼吸の癖がついてしまっている可能性があります。
口呼吸の状態が続くと舌が本来の位置よりも下がってしまい、口周りの筋肉がさらに鍛えられないという悪循環に陥ります。

・舌の短さ(舌小帯短縮症)

先天的に舌の裏側の根元から伸びる筋である舌小帯(ぜっしょうたい)が短いと、舌の動きが悪くなります。
そのため舌を含めた口回りの筋肉が十分に発達せず、ポカン口の原因となります。

●自然に治らないの?

自然に治らないの?

保護者様が声をかけた時には一時的に口を閉じることができるお子様も、そもそもの問題が口周りの筋力不足や歯並びなどに起因していますので、ポカン口が自然治癒する可能性は非常に低いです。
成長と共に改善がみられるという傾向よりも、ポカン口が悪化する可能性のほうが高いので、ポカン口に気付いたらなるべく早く、歯科医に相談することをおすすめいたします。

●ポカン口改善のトレーニング方法

ポカン口改善のトレーニング方法

ポカン口を改善するためには、

  • ・口回りの筋肉を鍛える「あいうべ体操(「あー」「いー」「うー」「べー」の形に口を動かす運動(1日30回目安)」
  • 「風船トレーニング(風船を膨らませる遊び)」
  • 舌の筋肉を鍛える「ガムトレーニング(ガムを口の中で丸めてのばす遊び)」
  • 「舌まわし(舌を口のなかでぐるぐる回す」)」

などのトレーニングが有効です。

しかしながら歯並びや鼻炎、舌の短さなど、口周りの筋力強化よりも医学的なアプローチを優先すべき口の原因も多数ありますので、まずは歯科医に相談した上で、トレーニング法や治療法の指示を仰ぎましょう。

●ポカン口の治療法

ポカン口の治療法

ポカン口の治療法は、ポカン口の原因となっている歯並びや舌の長さの改善、鼻炎の治療などを行ったうえで、口周りの筋肉を鍛えていくことが基本です。

当院で行っている小児の予防矯正では、永久歯が生えるために十分なスペースを確保するための装置装着と、顔面筋や顎の成長をサポートするための装置(筋機能訓練装置)を適切な時期に必要に応じて使用することで、口周りの筋力強化をしっかりと行っています。
正しい舌の位置を習得することができ、口周りの機能全体を向上させることによって、ポカン口の改善や正しい歯並び・咬み合わせへのサポート、そして将来的な健康へとつなげてまいります。

●まとめ

子ども自身も無意識のうちに口が開いてしまうポカン口は、口周りの筋力不足や舌の短さなど、歯科医が原因を正しく判断した上で適切な指導を行わない限り、自然治癒する可能性は低いです。
ポカン口を放置してしまうと、感染症や呼吸器疾患の発症リスクが高まったり、歯並びの悩みや不正咬合の原因になったりしてしまいます。
ポカン口が気になるお子様は、早めに一度歯科医に相談することをおすすめいたします。

●監修者

院長 : 黒田 祐彰

歯科医師

経歴

  • 1988年 朝日大学歯学部卒業
  • 1990年 くろだ歯科医院開業
  • 2003年 法人成設立 医療法人くろだ歯科医院へ
  • 2006年 移転
  • 2013年 移転 医療法人阡周会くろだ歯科医院へ
  • 2013年 12月ホワイトエッセンス 淡路店オープン

所属

  • 日本歯科医師会
  • 大阪府歯科医師会
  • 東淀川区歯科医師会
  • 日本顎咬合学会
  • 日本糖尿病学会
医療法人阡周会